大臣と議員

2020年のコロナ禍(その前からかも)において国務大臣の能力の低さが際立って見えるようになった。
そもそも国務大臣、たとえばIT担当大臣が78歳でUSBの意味を理解できていなかったりするとかなり不安になってしまう。
台湾のIT担当相は38歳と聞くからかなりうらやましい。
こんなことではIT化など進むはずもなく、世界から取り残されるのも納得。

どうしてこうなるのかを考えてみた。

日本の国務大臣は通常16人だが、特別に必要のある場合は3人追加し19人任命できる(2020年4月時点)。
問題は、日本国憲法により「国務大臣の過半数は国会議員から選出されなければならない」とされていることだと思う。
よその国は知らないが、日本の国会議員になるのには特別な資格は必要なく、国民の支持があれば小卒でもなれる。小卒が悪いとは言わないが。
しかも別の文章で説明した通り、その大半が既得権益を背負った世襲議員であるため、専門家である可能性は低い。
そんな中から行政府のトップである国務大臣を選ぶのだから、質の低下は避けられまい。

では、憲法はなぜそんな縛りを設けたのか。

どうやらこれには戦前戦中の内閣の暴走がかかわっているらしい。
つまり、国務大臣を国会議員以外の民間から選んでくると、そこに「国民の民意」が反映されず、内閣総理大臣の内閣私物化を招いてしまうと考えたようだ。まあ考えてみればそれも一理ある。特に今の日本国憲法は戦後諸外国の影響下でひねり出されたものだから、二度と戦争を起こさないようにしたいのが心情だっただろう。

個人的に言わせてもらえれば、憲法に定められているのは「過半数」なのだから、19人中の9人は民間の専門家を入れてほしい。とくにIT担当相などの専門性が問われる分野は、その道の専門家がトップにいなければ現場の苦労が減らないだろう。国務大臣が国会議員の「上がり」のような扱いを受けている間は日本の停滞は続くと思われる。

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