ホーキング放射

通常の空間で「対生成」が起こった場合、通常ならプランク時間内に「対消滅」する。

本来ならプラスマイナスゼロになるはずだが、事象の地平線付近で対生成が起こった場合、正か負の粒子のどちらかがブラックホール側に落ち込んでしまう可能性がある。

もし落ち込んだ粒子が「負の粒子」であった場合、それを取り込んだブラックホールは取り込んだ負の粒子分だけ自分自身の正のエネルギーを失う。
  
対して「対生成」で発生した「正のエネルギー」粒子は、事象の地平線を越えていない場所で発生したので、有限のエネルギーで脱出できる可能性が残されるため、十分なエネルギー量を持っている粒子は放出されると考えられる。

これを外から見ると「ブラックホールがエネルギーを放出しながら縮んでいる」ように観測される。

これを「ホーキング放射」と呼ぶ。


ホーキング放射を利用してエネルギーを得るエンジンのことを縮退炉という。

落ち込んだ負のエネルギーと同量の物質をブラックホールに投入することにより、ブラックホールが蒸発しきってしまうことを防ぎ、対生成で発生する正のエネルギーを回収できる。

ブラックホールの生成、維持、エネルギーの回収方法など技術的な問題に阻まれ、実用化はまったくの夢物語であるが、理論上作成が可能な動力機関で、熱力学第二法則に矛盾しない熱学的動力機関としては最も効率が良い。

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