パンドラの箱

パンドラとはギリシア神話における世界最初の女性。「すべての贈り物」という意味。

その昔、火を持たず動物と同じように暮らす人類を哀れみ、プロメテウス(先に考えるもの、の意)は天界から火を盗んで彼らに与えた。この行為に怒ったゼウスは、人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るよう神々に命ずる。

鍛冶の神ヘパイストスは泥から女性の形を作り、アテナは料理や機織などの女性の仕事の能力を、アフロディテは男を苦悩させる魅力を、ヘルメスは犬のように恥知らずで狡猾な心を与えた。そして彼らは最後に「決して開けてはいけない」といい含めてある箱を持たせてエピメテウスの元に送り込んだ。

美しいパンドラを見たエピメテウス(後で考えるもの、の意)は、兄であるプロメテウスから「ゼウスからの贈り物は受け取ってはいけない」という忠告を受けていたにもかかわらず彼女と結婚してしまう。

そしてある日、パンドラは好奇心に負けて箱のふたを開いてしまう。そのとたん、箱の中に入っていたありとあらゆる災い(モンスター、うらみ、ねたみ、不安、疑い、憎しみ、悪徳、疫病、悲嘆、飢餓、飢饉、戦争、犯罪)が飛び出した。

しかし、「エルピス」だけは箱のすみに残った。パンドラは慌てて蓋を閉じたが、これにより世界には災いが満ち人々は苦しむこととなった。

エルピスの解釈・・・神々の祝福か、最悪の災いか?

古代ギリシャ語における「エルピス」は「予兆」「期待」「希望」と訳される。
①希望と訳する場合
  ・プラスの解釈・・・数多くの災いが出てきたが、希望が残っていたので人間は絶望しないで生きられる。
  ・マイナスの解釈・・・逆に希望こそ災いであり、希望がある限り絶望することもあきらめることも出来ず、期待を抱きながら生き続けなければならない。
  
②予兆と訳する場合
   ・プラスの解釈・・・残されていたのは未来を知ってしまうという災いであり、未来で何が起こるかわかってしまうと人間は絶望して生きることをあきらめてしまう。しかし予兆が箱の中から出て行かなかったため、人間は絶望しないで生きることができる。
   ・マイナスの解釈・・・結果が分からなくなり、無駄な努力や遠回りをしなければならなくなった。

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